(1990年2月に改訂、承認される)
今後改正がある都度、変更していくつもりです。
2011年3月30日よりスタンダードで認められていない毛色についてより明確な規定が追加されました(毛色参照)。
Boston Terrier None-Standard Colors
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※以下はBoston Terrier Club Of Americaのwebsite及びThe Official Book of the Boston Terrierに記載されたスタンダード(犬種標準)を訳したものです。改訂がある場合は、その都度変更していく予定です。個人的に訳したものですので、誤訳に気付かれた際は、お教え頂けると有難いです。赤字は欠点を示しています。茶色で書かれた部分は、私見及びアメリカの知人(ブリーダー)の見解や追加事項を参考として載せています。写真によってはクリックすると大きくなるものもありますので御覧下さい。
Pictures are reproduced from the Judges Educational Seminar CD with a written permission from Mr. Carl E. Gomes on Dec. 11th, 2008 and also from the book, "THE BOSTON TERRIER An American Original" written by Mr & Mrs Michael Staley with given permission on April 22nd, 2009.
※スタンダードの翻訳、及び写真、イラストはMr GomesによるThe BTCA Judges Educational SeminarのCD とMr & Mrs Michael Staleyによって書かれた"THE BOSTON TERRIER An American Original"から共に著者(責任者)の許可を頂いて転載しています。二次使用はご遠慮下さい。
ボストンテリアは、快活で高い知性を持ち、滑らかなコート、短い頭部、コンパクトな体格、短い尾をしたバランスの良い犬である。色はブリンドル、シール(下記参照)、又はブラックであり、それに均一なホワイト・マーキングを持つ。頭部は犬のサイズと釣り合いがとれていて、表情は高い知性を表している。
ボディはやや短く、がっしりしている。四肢は力強く、よい角度を保ち、尾は短く、どの特徴も全体のバランスを損なうことはない。決断力、精神力、活動力に加え、洗練されたスタイルに優雅な身のこなしといった印象を有する犬である。バランスのとれた「主体色とホワイト・マーキング」の組み合わせは特筆すべきボストンテリアの特徴である。
「バランス、表情及び主体色とホワイト・マーキング」は一般外貌を評価する際に特に考慮しなければならない。
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サイズ・バランス・骨格(Size, Proportion, Substance)
体重
以下のように分類される;6.8kg未満・6.8〜9kg未満・9〜11.35kg
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左から右: 6.8kg未満、6.8〜9kg未満、9〜11.35kgのボストンテリア |
バランス
肢の長さは胴の長さと釣り合って、ボストンテリアの特筆すべきスクエアな外観を構成しなくてはならない。ボストンテリアはがっしりとした体格を持った犬で、細長く見えたり、粗野に見えたりしてはならない。
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左から右: 華奢(細長)過ぎ、正しい体格、粗野・ブルドッグ的な体格 |
骨量と筋肉は、体重と構造に比例して強くなくてはならない。
欠点:ずんぐりとした外見
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粗野、又はブルドッグのような体型 |
性別の影響
牡と牝の形態を比べると、牝の方が若干、洗練された(華奢な)雰囲気がある。
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(牡)Copacabana Boston's Garoto Canil Copacabana, Brasil |
(牝)CH Mtn View Celt of Constellation Constellation Bostons |
頭部(Head)
スカル(Skull/頭蓋)
スカルは四角く、頭頂部は平らで、皺がない。頬は平らで、額は切立ち、ストップ(Stop/額段)は深い。ボストンテリアの理想的な表情は、敏活で、優しさに溢れ、高い知性を示すことである、これがこの犬種の最も重要な特徴である。目(Eyes)は広く離れ、大きく丸い。目の色は暗色。頭頂部から直角に位置し、目尻は前面から見て頬と同線上にある。白目の見えない濃いビー玉のように真ん丸な目が理想的。
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白目が多すぎ | ロンパリ | 正しい目 |
失格:ブルーアイ。眼球の瞳孔や虹彩内の青い点(写真参照)、又は全体に青みがかった目。非常に判断しにくい為、見過ごされることが間々ある。このような青い点や青みがかった目は遺伝性とも考えられているが、1980年から1990年初期頃の予防接種(薬害)に起因しているのではと考えるブリーダーもいます。明るい茶色の目も好ましくない。
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右目(向かって左目)の瞳孔の真下に青い点がある |
耳(Ears)は小さく、直立し、自然のまま、もしくは断耳して頭部の形に合わせる。また、スカルの端部近くに出来るだけ位置しているのが好ましい。最近はアメリカでも動物愛護の観点から断耳しない傾向にあります。断耳しなくても良い適度な大きさの耳を持った犬の作出に努力しています。あえて断耳する理由としては、ブリーダーの好みや、(大きく広がった耳、耳の毛が部分的に白い等の)欠点を隠すためなどがあります。
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付き位置の低い耳 | 大き過ぎる耳 | 付き位置も大きさも良い耳 |
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正しく断耳された耳 理想的な断耳はリボン・カットと呼ばれる形 |
マズル(Muzzle/口吻)は短く四角で、幅広く、奥行きがある。スカルに釣り合った大きさで、皺はなく、横幅より縦幅(長さ)が短い。縦幅(長さ)はスカルの三分の一の長さを超えず、ストップから鼻先までの口吻は頭頂部に平行である。
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Butterfly Nose (バタフライ・ノーズ/斑鼻) |
Pinched Nares/Stenotic Nares (ピンチド・ネアーズ/鼻腔が狭過ぎる鼻) |
Dudley Nose (ダドリィ・ノーズ/肉色の鼻) |
赤矢印のチョップスは垂れさがり過ぎ。
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左:イーブン・バイト 中央:オーバーショット 右:アンダーショット |
重大な欠点:ライ・マウス(Wry mouth /下顎が片側にねじられたように、ゆがんだ口)
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Wry mouth |
頭部の欠点:白目や瞬膜が見え過ぎる目。狭過ぎ、又は広過ぎる鼻腔。頭部に対して大きすぎる耳。
重大な頭部の欠点:口を閉じている時に舌や歯が見えるもの。
首・トップライン・ボディ(Neck, Topline, Body)
首(Neck)の長さは、犬の全体を見た時にバランスのとれた印象を与えなくてはならない。わずかにアーチ(弓なり)し、頭部を優雅に支え、肩に滑らかに固定される。背部(Back)は四角いボディに十分な短さである。トップライン(Topline)は水平で、ランプ(Rump/骨盤部)から尾の付け根にかけてわずかに曲線を描く。胸(Chest)は、深く、十分な幅がある。肋骨はよく張り、スムーズに腰部(Loin)へ達する。胴(Body)は短くなくてはならない。
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正しいトップライン | 腰高のトップライン | 窪みのあるトップライン |
尾(Tail)は低い位置にあり、短く先が細い。真っすぐかねじれている(螺旋尾)。*1959年にVincent Perry氏によって書かれたTHE BOSTON TERRIERという本には次の6種類の尾の形が描かれている(図参照)。
1. Kink tail | 根元から急によじれたように曲がった短い尾。 |
2. Hook tail | 尾の先が鈎のように上方に曲がった垂れ尾。 |
3. Rabbit tail | ウサギのような尾。 |
4. Drop tail | 垂れ尾。 |
5. Screw tail | ボストンテリアに多い螺旋尾。 |
6. Spike tail | 一直線で急に先細になる真っ直ぐで短い尾。 |
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Tail types by Vincent Perry from the book; THE BOSTON TERRIER |
失格:断尾した尾
ボディの欠点:ゲイ・テイル(Gay Tail/真っすぐに上げた尾)
重大なボディの欠点:猫背(Roach back)、キ甲と寛骨との間の背線がくぼんで湾曲した背中(Sway back)、扁平な肋骨(Slabsided)。
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正しい尾の位置 | ゲイ・テイル | 貧弱なトップライン |
前躯(FOREQUATER)
肩(Shoulders)はボストンテリアのスタイリィッシュな動きを生み出せるよう適度に後方に傾斜している。
肘(Elbows)は、外転(外側に曲がること)も内転(内側にまがること)もしない。前脚(Forelegs)は適度に広く離れ、肩甲骨(Shoulder blade)の上端と一直線上にある。肩関節の角度が深すぎたり、反対に浅すぎると前脚は真っ直ぐ下に下りず、前脚を前に伸ばしたり、後に引いて立たせることになる。骨は真っ直ぐで、短く、力強いパスターン(Pastern/腕前部。前肢の腕関節から指部までの間の中手骨の部分のこと)を有す。狼爪(Dewclaws)は取り除く。事故防止の観点からも狼爪は取る方が望ましいが、欧州では狼爪を取らないのが一般的。足(Feet)は小さく、丸くコンパクトにまとまっている(猫の足のような形が理想)。内転も外転もせず、適度に弓なりになった指と短い爪を持つ。
欠点:骨量のない足。スプレイ・フット(Splay foot又はOpen footともいう。広がり足。各指が広がって、平らになった状態の足)
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High Toe |
後躯(HINDQUATERS)
大腿部(Thighs)は力強く、肉付きが良い。膝関節で曲がり、真っ直ぐに降りる。飛節(Hocks)から足までは短く、内転も外転もしない。飛節関節は明確である。
欠点:真っ直ぐな膝関節(Stifle、又はKnee jointとも言う)。
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つり合いのとれた正しい後躯 (注:良い角度の膝関節、飛節関節から足までは短く、力強い) |
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左から右:正しい後躯、狭過ぎ、開き過ぎ、カウ・フック |
歩様(GAIT)
ボストンテリアは確りとした足取りで真っ直ぐ歩き、前肢と後肢はリズミカルに真っ直ぐ一直線に進む。優雅で力強い足取りである。正しく、良い歩様とは、前肢と後肢の角度、前と後の歩幅が等しく、バランスがとれている。
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correct movement(正しい歩様) |
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CH Weywood's Cha-Ching bred & loved by Ms. Gwenn Weyandt of Weywood Boston Terrier |
歩様の欠点:Rolling(横揺れする歩様)、Paddling(歩くたびに足を外側に曲げる)、Weaving(交差歩様)、Hackneygait(前足を高く上げて進む歩様)。
重大な歩様の欠点:交差歩様
被毛(COAT)
被毛は短く滑らかで輝いている。きめが細かい。
毛色(COLOR)とマーキング(MARKINGS)
Brindle ブリンドル(正確に言えば、ブリンドルというのは毛色ではなく、黒または暗色の縞模様のこと)、Sealシール(注:シールの定義;日光及び明るい光の下では赤みがかって見えるが、その他の状況では、ブラックに見える)、又はブラック&ホワイト・マーキング。他の条件が同じ場合のみ、ブリンドルが望ましい。
下記の写真はSeal & Whiteの毛色の例。同じ犬が光の下では赤みがかった毛色に見える。レッドとシールは全くの別物です。
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シール(Seal Color) | シール(光の下では赤みがかって見える) |
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Black(L) and Seal(R) bostons The picture offered by Deide Carpenter of Haven Hill(formerly Deisign) Boston Terriers |
失格:犬種標準(スタンダード)に認められていない全ての色。必要とされるマーキングのない黒一色、ブリンドル一色、シール一色の毛色。灰色、またはレバー色。単色でなくとも、犬種標準で認められていない毛色(non-standard/off-colors)にレッド(Red)、ファウン(Fawn)、ブルー(Blue)、真っ白、スプラッシュ(Splash/牛柄)などが有り、アメリカではこれらの犬をレアカラー(珍しい色)と称して高額な値段で販売する繁殖業者もいます。しかしこれらの色はレアでも望ましくないでもなく、「間違っている」のです。得てしてこれらの犬の目の色は薄く、黒色色素が鼻や目の周りに欠落している。コートにブリンドルも存在しない。ブラックマスクを有するファウンにもブリンドルは存在しません。下記の写真以外のオフカラー(ノンスタンダードカラー)ボストンはこちらをご覧くださいBrindle Hill,Undesirable/Disallowed BostonTerrier Colors page
red boston with yellow eyes | Correct type | Incorrect type |
黄色がかった目をしたレッドボストン。こ
のように色素の欠落した犬はボストンテ リアが本来持っている柔かいエクスプレ ッション(表情)にも欠けている。 |
正しい毛色とマーキングをしたブラ
ックブリンドル&ホワイトの子犬。濃 く 黒い眼が柔かな表情を醸し出して いる。 |
断尾したレッドボストン。粗野で、柔か な表情に欠ける。 |
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Fawn puppy | Red boston | Splash boston |
*AKCで登録が認められている毛色*
Black & White(ブラック&ホワイト)
Black Brindle & White(ブラックブリンドル&ホワイト)
Brindle & White(ブリンドル&ホワイト)
Seal Brindle & White(シールブリンドル&ホワイト)
Seal & White(シール&ホワイト)
上記以外の色は大抵の場合、Brindle & Whiteと登録される。Tuxedo Color(タキシードカラー)、Boston Color(ボストンカラー)といった呼称は和製カラーではないでしょうか。また、Mahogany Brindle(マホガニー・ブリンドル)という毛色も登録する際には使われません。
必要とされるマーキング(Required Markings): 白い口吻部、両目の間の白いブレーズ、白い前胸。
望ましいマーキング(Desired Markings): 白い口吻部、両目の間と頭上にまたがる均等な白いブレーズ、白いカラー、白い前胸、部分的、または全体的に白い前足と後足の飛節下。(注:「望ましいマーキング」ではないからといって、犬種の見本となるべき犬が不利益を被ってはならない)。頭部やボディに白い毛色が多すぎる犬は、その欠点をカバーするだけのメリットを有さなければならない。
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必要とされるマーキング | マーキングの欠点をカバーするメリット要 | 望ましいマーキング |
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1) Haggaty Dot | 2) Ticking | Ticking |
気質(TEMPERAMENT)
ボストンテリアは友好的、かつ快活な犬であり、非常に良い気質を持った知性に溢れた犬種であることから、私たちにとって比類なき伴侶になれる犬種です。
評価の点数(Scale of Points)
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どの純犬種も、タイプと純粋さを保つ為にスタンダードを立案し、それを審査の指標としてきました。タイプがなければ犬種は存在しません。スタンダードの立案者達は創設時より、ポイントシステムを構築して犬種のもっとも重要な特徴を同定・分類してきたのです。ボストンテリアの場合で見ると、100ポイント中、35ポイントの点数が頭部と表情に配されていることから、それらがボストンテリアの最も顕著な特徴であることは明白です。言いかえれば、「ヘッドブリード」と称されてきたボストンテリアにとって頭部が一番重要で、素晴らしくなくてはならないということです。しかし、犬を審査する際には単純に点数を計算するのではなく、まず全体を見、際立った長所や欠点を評価し、どの点を重要視するかを決定し、その判断に応じて賞を与えるのです(by Mr. Carl E. Gomes)
概要(Summary)
端正で短いボディをしたボストンテリアは、四角い頭部と顎・印象的なマーキングといったこの犬種ならではの特徴と相まって、もっとも快活で魅力的なアメリカ原産の犬種、The Boston Terrierとなったのです。
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The Official Book of the BOSTON TERRIER by Muriel P. Lee
The BOSTON TERRIER An American Original by Beverly and Michael Staley
The BOSTON TERRIER by Vincent G. Perry
Judges Educational Seminar / The American Gentleman; by Mr. Carl E. Gomes
誠文堂新光社 「犬の用語事典」 大野 淳一 著
Special thanks to Mr. Michael Staley(Staley Bostons), Deide Carpenter(Haven Hill Boston Terrier), Kathryn Graves PhD(Katbird Bostons), Valerie Kaesemacher(Constellation Bostons), Gwenn Weyandt(Weywood Bostons), Maria Rocio Nadal(Canil Copacabana) for offering me some informative pictures. Also to Wendy Orgren(Brindle Hill) for allowing me to have a link to your "Undesirable/ Disallowed Boston Terrier Colors" page.
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